
乱形石とは、自然石を活用した不定形の石材です。活用方法が多岐にわたり、ユニークなデザインに仕上がることから人気があります。
しかし、乱形石の導入にあたり、種類や費用が気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、乱形石の種類やメリット・デメリットをはじめ、施工場所や施工方法について解説します。
かかる費用についても紹介するので、乱形石が気になっている方や外構に取り入れようか検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
実際の乱形石の種類や費用を確認したい方は、以下からご確認いただけます。
乱形石とは?3つの特徴を紹介

乱形石とは、大小様々なサイズのある天然の石材です。ここでは、乱形石の代表的な特徴を3つ紹介します。
①:自然素材ゆえのオリジナリティがある
②:色味が豊富にある
③:さまざまな種類がある
どのような特徴があるのかを把握し、乱形石について理解を深めましょう。
①:自然素材ゆえのオリジナリティがある
乱形石の最大の特徴は、オリジナリティを表現できる点です。
乱形石は加工されておらず、自然そのものの形や色味をもっています。
丸い形や四角い形など、石によって様々な形があるので、無機質な人工素材とは異なる柔らかさを表現できます。
乱形石の敷き詰め方次第では、雰囲気をガラッと変えられるのも魅力です。工夫を凝らせば、オリジナリティ溢れるデザインに仕上げられるでしょう。
②:色味が豊富にある
乱形石はカラーバリエーションが豊富なため、理想のデザインに応じた選択ができます。カラーの種類は大きく分けて以下の3つです。
・イエロー〜オレンジ:ナチュラル系
・ホワイト:ヨーロピアン調
・ブラック:スタイリッシュ
【イエロー〜オレンジ:ナチュラル系】

【ホワイト:ヨーロピアン調】

【ブラック:スタイリッシュ】

乱形石は色味の中でも寒色・暖色系に分かれており、自分好みの空間が作れるでしょう。
また、同じ色でも一つひとつ質感に違いがあるため、より細かいイメージに近い雰囲気が作れます。
③:さまざまな種類がある
乱形石には、さまざまな種類があるのも特徴の一つです。主な種類や特徴を紹介していきます。
【ライムストーン(石灰岩)】
ドイツのジュラ紀の地層から採石される「ソルンフォーヘン」が有名で、黄色の温かみのある色調で玄関のアプローチなどによく使用されます。
【粘板岩(スレート)】
日本では「玄昌石」が有名ですが、様々な石種があり、屋根材にも使われます。
【石英岩】
丈夫なため、歩道などのパブリックスペースにも使われます。
【鉄平石】
日本では古くから建物や公園などで使われ、馴染みのある石材です。
【斑岩】
非常に硬質なため、ヨーロッパの石畳などと呼ばれる歩道や車道の舗装材としても使われてきました。
種類ごとに強度や加工のしやすさ、経年変化などは異なります。
たとえば、古くから日本で乱形石として親しまれてきた鉄平石は、石英岩の乱形よりも加工がしやすく、鉄平石専門の職人もいるほどです。
乱形石の色味や形、種類などの違いが知りたい方は、ぜひ以下のページも確認してみてください。
乱形石を使用するメリット

乱形石を使用すると、以下のメリットがあります。
①:温かみを感じる雰囲気になる
②:個性的なデザインの外構が作れる
①:温かみを感じる雰囲気になる
まず、メリットとして挙げられるのが温かみのある雰囲気に仕上げられる点です。
乱形石の不揃いな形は自然素材ならではのものであり、柔らかい雰囲気を醸し出すにはぴったりでしょう。
また、加工物には見られない濃淡のある色合いと質感は、良い意味で統一感がありません。
豊かな表情と美しさを演出できるのも、乱形石を使用するメリットです。
②:個性的なデザインの外構が作れる
乱形石には同じ素材はひとつもないため、外構に使用すれば個性的なデザインになります。
また、施工方法により雰囲気を変えられるのも特徴です。
一般的に、乱形石を敷き詰める施工方法は「乱貼り」・「乱石貼り」と呼ばれています。活用方法は以下のとおりです。
・アプローチ全体に敷き詰める
・ポイント的に乱貼りを敷く
・乱貼りの間に砂利を入れてアレンジする
・壁面に施工する
施工方法もさることながら、ひとつとして同じ形がない乱形石を使えば、ユニークな雰囲気を演出できるでしょう。
以下の例は、お客様の施工事例です。目を凝らして見ると、ミニーマウスやハートのシルエットがあり、ユーモアたっぷりに仕上がっています。

さらに、同じ石種で乱形と方形が揃う石種もあるため、乱形と方形を組み合わせてデザインの幅を広げることもできます。
以下の記事では、方形のタイプが揃う乱形石材を色別に紹介しています。
乱形石を使用するデメリット

メリットの多い乱形石ですが、以下のようなデメリットもあります。
①:仕上がりが職人の腕に左右される
②:場所によって割れる可能性もある
良い面だけでなく悪い面も把握し、施工後に後悔のないようにしましょう。
①:仕上がりが職人の腕に左右される
乱形石の仕上がりは職人の経験や、センスに左右されます。
乱貼り・乱石貼りは特に難しい施工方法であるためです。特定の石種の施工経験に乏しかったり、専門でない職人に依頼したりすると、納得のいかない仕上がりになるのは否めません。
たとえば、鉄平石を専門とする職人が乱形石を貼った場合、非常に綺麗な目地に仕上がります。

ただし、画像のように詰めて貼るのであれば、石材も20〜30%程度は余分に必要となります。外構工事はやり直しできないため、適切な業者選びが大切です。
②:場所によって割れる可能性もある
使用場所によっては、割れるリスクがあるのも乱形石のデメリットです。乱形石は耐久性が高いものの、厚みがバラバラなので下地がしっかりしていても割れるリスクがゼロではありません。
特に、駐車場をはじめとした重量のあるものが上に乗る場合は、割れる可能性が高いでしょう。
ただし、斑岩などは非常に硬く、公共スペースや駐車場などにも一般的に使われています。
乱形石の主な施工場所5つ|施工事例も紹介

ここからは乱形石の主な施工場所を事例とともに紹介します。主な施工場所は次のとおりです。
①:玄関アプローチ
②:建物の入口
③:屋外スペース
④:駐車場
⑤:門柱
それぞれの場所でどのように乱形石が使われているのか、雰囲気を掴む上での参考にしてみてください。
①:玄関アプローチ

玄関アプローチに乱形石を施工することで、品格のある家の雰囲気が演出できます。異素材を組み合わせてもおしゃれな雰囲気に仕上がるのがポイントです。
②:建物の入口

建物の入り口に温かみのあるカラーの乱形石を施工することで、来客を迎える空間に柔らかな雰囲気を与えられます。
③:野外スペース

自宅の庭に、地面より一段高くなった屋外スペースを設けると、家族がリラックスして過ごせる空間が作れます。
ナチュラルなカラーの乱形石は、明るい雰囲気にしたい野外スペースにぴったりです。
④:駐車場

車の出入りがある駐車場でも、適切な厚みと下地処理をすることで乱形石を利用できます。
赤みのある乱形石はシンボルツリーの緑がきれいに映えるため、相性が良いでしょう。
⑤:門柱

乱形石は、床面だけでなく垂直面にも使用できます。特に、来客が必ず通る門柱にはアクセントとして活躍するため、ぜひ取り入れてみてください。
乱形石の施工方法

乱形石の施工は、以下の5つの手順に沿って行われます。
①:下地を準備する
②:バサモルタルを敷き込む
③:乱形石を仮並べして調整する
④:セメントノロで乱形石を張り付ける
⑤:目地を詰めて、洗浄する
それぞれの工程を詳しく解説します。
①:下地を準備する
まずは下地を準備します。表面にホコリがつかないように掃除しましょう。バサモルタルと接着しやすくなるように、水を散布します。
②:バサモルタルを敷き込む
バサモルタルは、厚さがおよそ30〜40ミリになるように敷き込みます。砂とセメントの割合を3:1にするのが黄金比です。
③:乱形石を仮並べして調整する
色の大きさやバランスを考慮しながら、乱形石を仮並べします。目地を均一にし、バッテンや長い直線が出ないように注意して張りましょう。
調整段階で、乱形石はハンマーで割ったりディスグラインダーと呼ばれる回転電動工具で切ったりして、形を整えます。
「目地」と呼ばれる石と石の隙間の広さによって、大きく印象が変わるので注意が必要です。

④:セメントノロで乱形石を張り付ける
配置が決まったら、仮並べした乱形石を外します。下地のバサモルタイルにセメントノロ(セメントペースト)を塗布し乱形石を貼り付けます。
⑤:目地を詰めて、洗浄する
目地モルタルを乱形石の石と石の間に塗り込み、固定します。
目地詰めが終わったら、石の表面についた目地材を速やかに水で濡らしたスポンジで綺麗に拭き取り、洗浄しましょう。
モルタルが乾いたら完成です。
乱形石のメンテナンス方法

乱形石の主なメンテナンス方法は、高圧洗浄です。
高圧洗浄は水圧が強いため、表面的な泥汚れを簡単に落とせます。ただし、目地や柔らかい部分には直接的な噴射を避け、水圧を弱めたり拡散で洗浄したりする工夫が必要です。
また、高圧洗浄で落ちない汚れの場合は、汚れの種類に応じた洗剤を使用するようにしましょう。
汚れの種類 | 洗剤の種類 |
油・アルコール類など | 酸性 |
石鹸カス・水垢・サビなど | アルカリ性 |
もちろん、黒ずみのような軽い汚れであれば、洗剤や高圧洗浄を用いなくても、ブラシで擦れば落ちる可能性はあります。
汚れが取れない、どの方法がわからないなどの場合は専門の業者に相談しましょう。
乱張り・乱形張りにかかる費用

乱張り・乱形張りの費用について気になる方も多いでしょう。
乱張り・乱形張りの費用相場は、1㎡あたり約2〜3万円程度です。
ただし、費用は業者ごとに異なり、ケースによっては以下の内容が追加されます。
・既存建材の撤去費用や処分費用
・下地コンクリート費用
・運賃
また、一般的な他の施工方法と比較した場合の価格は次の表のとおりです。
施工方法 | 施工費用(1㎡あたり) |
乱張り・乱形張り | 約20,000〜30,000円 |
タイル工事 | 約10,000〜16,000円 |
板石貼り(床) | 約17,000〜22,000円 |
ピンコロ(床) | 約18,000〜20,000円 |
乱形石の費用は比較的高くなりやすいですが、耐久性があるため、長期的に見ればコストパフォーマンスに優れています。
乱張り・乱形張りを検討する際は総工事費用がいくらかかるのか、全体の数字を把握するのが大切です。
乱形石の種類ごとの価格が知りたい方は、以下のページもチェックしてみてください。
乱形石に関するよくある質問

最後に、乱形石に関するよくある質問に答えます。
①:乱形石貼りは地面に置くだけでも大丈夫?
②:乱形石を使用しておしゃれにDIYするポイントは?
それぞれ見ていきましょう。
①:乱形石貼りは地面に置くだけでも大丈夫?
乱形石を下地なしで施工するのは、推奨されていません。下地がない場合、乱形石が固定されないため割れたり剥がれたりする可能性が高くなります。
特に、重いものが乗る場所では、下地を設けることが強く推奨されます。
②:乱形石を使用しておしゃれにDIYするポイントは?
DIYにおけるポイントは次のとおりです。
・並べ方にこだわる
・アプローチの形にこだわる
・アクセントや他の素材と組み合わせる
乱形石を配置する際は、形や色のグラデーションに考慮することでおしゃれにDIYすることが可能です。
また、異素材と組み合わせてもオリジナリティ溢れる雰囲気になるので、ぜひお試しください。
詳しい施工方法が知りたい方は「乱形石の主な施工場所5つ|施工事例も紹介」もぜひ、参考にしてみましょう。
乱形石を使って世界にひとつだけのおしゃれなデザインにしよう

乱形石とは温かみがあり、世界にひとつだけのデザインが作れる魅力的な素材です。豊富なカラーバリエーションと種類もあるため、積極的に導入を検討してみましょう。
ただし、他の石材と比べて施工費用が高かったり、石種によっては駐車場をはじめとした場所に設置すると割れやすかったりするリスクもあります。
適切な計画のもと、ぜひ乱形石でユニークな演出をする選択も視野に入れてみてください。
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