「大理石を屋外に使用したら艶がなくなってしまった」
「御影石を使用したら大理石よりも水を吸いやすくて困っている」
このようなお悩みを抱えている企業の担当者の方もいるのではないでしょうか。
石材は種類によって特徴が大きく異なります。このような失敗を防ぐためには、ややこしい石材の分類を知っておく必要があるでしょう。
本記事では、住宅などの建築物に使われる石材の代表的な種類や部位別の選び方のポイントを解説します。
建築物に使われる石材の3つの種類
そもそも、石材とは自然界で形成された岩石を建材として使用するために加工したものを指します。木材と比較すると、耐久性や美観性に優れているため、建築業界では重宝されている建材といえます。
また、デザインに重厚感を与える点や圧縮強度が強い点が特徴です。
一方で他の建材と比較すると加工がしにくく、運搬のコストと手間がかかってしまいます。
石材は外装や内装、外構、水回りなどの部位に使用されるケースが多いです。建築物に使われる石材の種類は30を超えますが、以下の3つに大きく分けられます。
①:火成岩(かせいがん)
②:変成岩(へんせいがん)
③:堆積岩(たいせきがん)
①:火成岩(かせいがん)
火成岩とはマグマが地中で冷えることで形成された岩石です。火成岩は花崗岩(かこうがん)・安山岩(あんざんがん)の2つの種類に分けられます。
よく耳にする「御影石」は花崗岩のことです。
耐薬品性と硬度が高く、摩耗に強い点が特徴です。
②:変成岩(へんせいがん)
変成岩とは既存の岩石が熱や圧力により変質した岩石です。大理石や粘板岩(スレート)は変成岩に分類されます。変成岩は種類によって硬度が高いものと低いものがあるため、用途に応じて使い分ける必要があります。
また、大理石は酸に弱いため、光沢のある大理石を屋外で使用すると艶が落ちてしまいます。
③:堆積岩(たいせきがん)
地表に堆積した砂や泥に圧力が加わり、固形化した岩石です。熱によって形成された岩石ではありません。
堆積岩には石灰岩や砂岩、凝灰岩が分類され、主な成分は以下のとおりです。
堆積岩の種類 | 主な成分 |
石灰岩(せっかいがん) | 炭酸カルシウム |
砂岩(さがん) | 砂や泥 |
凝灰岩(ぎょうかいがん) | 火山灰 |
多様な色や模様が特徴的です。
建築物に使われる主な石材の種類と特徴
建築物に使われる石材は数多くの種類があります。
よく使われる種類は、以下の6つが挙げられます。
①:御影石(花崗岩):高い耐久性と硬度が特徴
②:大理石:色合いや独特の模様が特徴
③:粘板岩(スレート):床材や屋根材として使用されることが特徴
④:石灰岩(ライムストーン):ぬくもりを感じさせる素朴な質感が特徴
⑤:砂岩:自然な風合いとざらざらとした手触りが特徴
⑥:凝灰岩:軟らかく加工のしやすさが特徴(大谷石など)
ここでは、それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
①:御影石(花崗岩):高い耐久性と硬度が特徴

花崗岩(御影石)はマグマが時間をかけて冷えて形成した石材です。そのため、火成岩の中でも高い耐久性と硬度を特徴として持ちます。
色のバリエーションに富んでいる点も特徴の1つで、黒や白、ピンク、赤などから選択できます。
建築物の部位では玄関や外壁、外床などに使用されるケースが多くあります。
②:大理石:色合いや独特の模様が特徴

色や独特の模様が特徴で、御影石と比較すると硬度が低いため加工しやすい石材です。高級感を演出したい部位に使用されるケースが多くあります。
酸性雨の影響を受けやすく、表面の艶がなくなるため、外装や外構など屋外での使用は推奨されません。大理石には天然・人造・人工の3つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
また、色合いや模様、加工方法によって外観が大きく変化する石材です。多種多様な選択肢があり、高級感を与える石材として注目されています。
天然大理石は光沢が落ち、汚れることで人工的な素材にはない経年変化の風合いを楽しめます。
③:粘板岩(スレート):床材や屋根材として使用されることが特徴

沈殿した粘土が固形化した石材です。耐候性に優れている製品が多くあるため、昔から外観の部材として使用されるケースがあります。
屋根材などに使用する場合、吸水率が低いスレートを選択しましょう。
吸水率が高いスレートの場合、屋根の裏面に付いた結露水を吸い込み、岩層が剥がれる原因になるため注意が必要です。
黒や赤褐色、緑などの色合いから選択できます。また、屋根材として合わせやすいシンプルなデザインであるため、人気を集めている石材です。
④:石灰岩(ライムストーン):ぬくもりを感じさせる素朴な質感が特徴

堆積した貝や軽石、火山灰などが固まることで形成した石材です。主な構成要素は炭酸カルシウムで、硬度が低く、吸水率が高い点が特徴です。
吸水率が高い製品は汚れやすいため、外装への使用には適していません。しかし、磨いて光沢のある大理石や御影石などとは違う温かみのある印象が好まれる空間に採用される石材です。
一方で、以下のような石灰岩は、住宅では玄関周りのアプローチをはじめとした外構に使用されるケースが多いです。
⑤:砂岩:自然な風合いとざらざらとした手触りが特徴

砂岩は水中に堆積した砂粒が圧縮されて形成された石材です。硬度が低く、耐火性が高い点が特徴です。
吸水率が高い製品は水分がかかってしまうと水分を簡単に吸い込んでしまい、凍結による破損や汚れが付着しやすい傾向があります。
色合いは赤色や白色、茶色やグレーなど産地によってさまざまです。例えば、インド産のレッドサンドストーンは濃い赤色である一方で、イタリア産のピエトラドラータは茶色です。
また、他の石材の本磨きのように表面を磨き上げられず、光沢がないものの、自然由来の割肌やマットな風合いを楽しめるでしょう。
⑥:凝灰岩:軟らかく加工のしやすさが特徴(大谷石など)

(大谷石調のタイルになります)
地上や水中に堆積した火山噴出物によって形成された石材です。火山噴出物が由来となっているため耐火性に優れている点が特徴です。
さまざまな種類があり、性質は異なるものの、一般的には軟らかく加工しやすい石材として使用されています。
種類によっては吸水率が高く、風化しやすいものもあるため注意が必要です。
代表的な石材は十和田石(とわだいし)や伊豆石(いずいし)、大谷石(おおやいし)があります。
十和田石や伊豆青石は吸水性が高く、温泉浴場の床材として使用されるケースが多いです。大谷石は調湿性や保温性に優れており、室内に使用されるケースが増えています。
カラーは、最初はうす緑色の淡い色合いのものが多く、経年変化で徐々に白っぽくなり淡い茶系に変化します。
建築物で石材を選ぶ際に注目したいポイント
では、建築物に使う石材はどのように選べばよいのでしょうか。
石材を選択する際には外装や内装、外構、水回りなど建築物の部位に向いている製品を選ぶことが大切です。
石材を選ぶ際には、以下の4つのポイントをチェックしましょう。
①:【外壁や屋根などの外装】耐久性と美観
②:【内装】模様や美しさ
③:【玄関アプローチなどの外床】耐久性と耐候性
④:【水回り】吸水率の低さとメンテナンスのしやすさ
ここでは、4つのポイントを詳しく解説します。
①:【外壁や屋根などの外装】耐久性と美観
外壁や屋根などの外装に使用する石材は耐久性と美観に着目して選ぶことが大切です。外装には御影石や粘板岩(スレート)などの使用を推奨します。
御影石は多種多様な色のバリエーションがあるため、建築物のイメージに合わせた製品を選択できます。
また、外装は地域の気候の影響を受けやすいため、定期的な点検と必要に応じてワックスがけなどのメンテナンスを定期的に実施するようにしましょう。
②:【内装】模様や美しさ
石材によって建築物の内部のイメージが大きく左右されるため、模様や美しさをチェックしましょう。内装には大理石や石灰岩を使うケースが多いです。
大理石は独特の模様と色味で内装のイメージに高級感を与える効果があります。暖色系の製品が多くある石灰岩は内装の空間に温かみを与えられるでしょう。
ただし、高い吸水性のある石灰岩は撥水処理など適切な表面処理が必要になります。
③:【玄関アプローチなど外床】耐久性と耐候性
玄関アプローチなどの外床で使用する石材は耐久性と耐候性に優れているかが重要です。外構には御影石や粘板岩がおすすめです。御影石を使用したい場合、ジェットバーナー仕上げのものを採用しましょう。
耐候性やメンテナンス性に優れており、滑りにくい仕上げになっているため、外床におすすめです。
層状の特徴的な模様の粘板岩は外構に使用することで、デザインを引き立たせる効果が期待できます。
また、外装と同様に建築物のイメージに大きな影響を与えるため、デザイン性も考慮して選択するとよいでしょう。
④:【水回り】吸水率とメンテナンスのしやすさ
キッチンや浴室などの水回りへの使用は吸水率や耐汚染性、メンテナンスのしやすさを重視して選択しましょう。
浴室の床には一般的に御影石のジェットバーナー仕上げを採用するケースが多いです。
水回りの場所に大理石を使用する方も珍しくありません。
しかし、色や柄によって、シミが目立ちやすくなるケースもあるため、注意が必要です。
適切なメンテナンスを定期的に行うことで、長期的に美観を保つことが可能です。
石材選びで後悔しないために
本記事では建築物に使われる石材の種類と特徴、選び方のポイントを解説しました。石材はさまざまな種類があり、色や模様、強度、吸水率、耐久性などの特徴が大きく異なります。
建築物のイメージに合わせた色や模様で石材を選択することも大切ではあるものの、耐久性や吸水率、メンテナンス性が求められる場所もあります。
美観だけで選んでしまうと、破損や汚れの付着などの問題が発生する可能性もあるため注意が必要です。
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