大理石調床タイル パラス・アテナ

大理石調タイルと言っても、その構造や素材は様々です。

 

二丁掛けタイルを「レンガタイル」や「ブリックタイル」などと呼ばれるのと同様に、風合いからくるイメージを表現した呼び方として使われているため、業界としては特別な定義はありません。

そこで、大理石調タイルに該当するタイルを分類して、特徴などをわかりやすくまとめてみました。

磨きタイル(鏡面タイル)

タイル業界の方が「大理石調タイル」と聞いて、一般的に頭に思い浮かべるのはこの種類だと思います。

 

固く焼きしめられた磁器質のタイルの表面を実際に磨いて光沢を持たせるタイルです。

鏡の面のように艶があるという意味で鏡面タイルと呼ばれることもあります。

 

普及しだした頃は高価でしたが、中国などで大量生産されるようになってからはコストも大幅に下がり、元々は塩ビタイルを使用していたコンビニエンスストアやスーパーなどの床にも使用されるようになり、私たちの身近なところでもたくさん使用されています。

一層構造の磨きタイル

一層構造の磨きタイル

一層構造の磨きタイル

表から裏まで同じ材質の一層構造の無垢材になっています。

 

中には、一枚一枚の大理石模様が異なるこだわりの製造方法で、下の写真のような天然の大理石と同様の断面を持つ磨きタイルもありましたが、最近では珍しくなりました。

こだわり製法の磨きタイル断面

こだわり製法の磨きタイル断面

 

二層構造の磨きタイル

二層構造の磨きタイル

二層構造の磨きタイル

表面とボディの部分を2層にすることで原料や製造コストの低減につなげています。

 

表層部分は一定の厚みがあり、質感や強度も一層構造とほぼ同様のため、構造が一層か二層かについては、特にこだわる必要はないでしょう。

 

磨きタイルの特徴と注意点

材質は磁器質タイルのため、吸水率も低く、強度も高いタイルです。

 

一般的な施釉タイルがガラス質の釉薬で表面を覆っているのに対し、表面を研磨することで仕上げている磨きタイルは、顕微鏡的に見ると極小のピンホールがあります。

磨きタイルの表面を電子顕微鏡で110倍に拡大した写真

通常は問題にならないピンホールなのですが、このピンホールの大きさよりもさらに小さい物質がつまってしまう可能性はあります。

 

そのため、明るい色のタイルに濃い色の目地の使用をお避けいただくか、ご使用になる場合は事前にお試しいただく事をおすすめします。

 

タイルによっては、表面に保護用のワックスを塗布してあり、施工後にクリーニングをする場合もあります。

印刷で大理石調を再現したタイル

表層だけを印刷技術によって大理石模様をプリントしたタイルです。

磨きタイルと異なり素材で大理石模様を表現する必要が無いため、天然の石材の模様をそのまま再現したタイルや、モチーフとして天然には無い色や柄を表現したタイルなどがあります。

 

インクジェットや施釉の技術向上で、本磨きの仕上げ以外にも以下のようなすべりにくいグリップ調の仕上げなどもあり、その表現の幅も大きく広がっています。

同じタイルの本磨きとグリップ仕上げ

同じタイルの本磨きとグリップ仕上げ

 

天然大理石との比較

施工実例写真で比較

実際の施工例を見て比較してみようと思います。

 

下の写真は、どちらも同じ商業施設内の通路で、既に相当な年数が経過している例です。

大理石の施工例

天然大理石の施工例

都心の百貨店なので通行量も多く、当初は本磨き仕上げだった大理石は、見事にマット調に変化しています。

 

磨きタイルの施工例

磨きタイルの施工例

一方、磨きタイルの方は、多少の汚れが気にはなるものの、照明が映り込んで光を反射させるほど充分な光沢が、いまだに残っています。

 

さらに、床の表面に近づいて接写してみました。

大理石の床面を接写

この「トラバーチン」という天然石は、古くはローマのコロッセオの建造に使用され、現在でもよく使われる代表的な建築石材です。

 

表面はトラバーチン特有の虫食い模様の穴を埋めているため、先述の磨きタイルのピンホールどころの話ではなく、写真でも黒い汚れが詰まっているのがわかると思います。

 

ただ、この汚れは下の写真の磨きタイルの汚れとは印象が違いました。

 

天然大理石は艶も落ち、汚れもしますが、それが使い込まれた味になり、人工的な素材にはない、自然な素材だけが生み出せる経年変化の風合いがあります。

 

磨きタイルの床面を接写

鏡面のような光沢が保たれる磨きタイルは、汚れが逆に目立ってしまうことになるので、味わいとは感じづらいですね。

 

もっとも住宅の場合は、ここまで通行量が多くないので、このような汚れの心配はありません。

 

また、上の写真をよく見ると、一番手前の大きく写っているタイルとその向こう側のタイルの柄が同じことに気づくと思います。

 

これは、複数パターンの大理石模様を人工的に描くためで、注意して見ないとわかりませんが、天然大理石のようなバラツキや突拍子もないものが混ざる心配が無い代わりに、やはり天然の味わいが少ないという見方もできます。

 

最後に、それぞれの良さをまとめておきます。

大理石調タイルの良さ

  • 大理石よりも表面が固いため、キズがつきにくく光沢が長持ちする
  • 大理石よりも水を吸いにくいため、汚れの心配が少ない
  • 柄や模様を人工的に作るため、大理石より安定している

天然大理石の良さ

  • 大理石調タイルは柄が何種類かのパターンになるが、一枚毎に異なる天然の風合いがある
  • キズや汚れも永く使った味わいに変化する
  • やはり、本物の高級感がある。

 

自然のバラツキや経年変化を味わいと感じられる方には天然大理石を、人工の安定感や変化しない美しさがお好みの方は、磨きタイルをお勧めします。

 

大理石調床タイル LIXIL(リクシル) INAXティボリ

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