「大理石ってどんな石材なの?」
「大理石を使うメリットやデメリットを知りたい」
といった疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。


大理石は、その美しい模様と上品さから、これまで多くの建築物や内装に使われてきました。しかし、天然石ならではの性質やお手入れの方法など、採用する前に知っておきたいポイントも少なくありません。


この記事では、大理石の産地や種類をはじめ、住宅に導入するメリット・デメリット、選び方のポイントをプロの目線から徹底解説します。


大理石について深く知り、導入するかどうかを検討したい方はぜひご一読ください。


なお、タイルライフでは大理石をはじめ、タイル以外の石材も豊富に取り扱っています。きっとお気に入りの石材が見つかるので、ぜひ探してみてください。

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大理石とは石灰岩に地中のマグマの熱と圧力が加わってできた石

大理石とは、石灰岩(ライムストーン)が地中でマグマの熱と圧力による影響を受け、再結晶化してできた変成岩の一種です。


元となる石灰岩は、サンゴや貝殻など、炭酸カルシウムを主成分とする生物の遺骸が海底に堆積して固まることで作られます。長い年月をかけて熱と圧力を受けることで、構成している結晶が大きく成長し、緻密で美しい模様を持つ大理石へと生まれ変わります。


その美しさから大理石は、下記の建築物で使われてきました。
・ギリシャのパルテノン神殿
・ローマのコロッセオ
・インドのタージ・マハル


磨くことで現れるなめらかな光沢と、石の中に流れるような独特の模様が、空間に上品さを演出してくれる石材です。

大理石の代表的な産地と種類

大理石は世界各地で産出され、産地によって色や模様、特徴が大きく異なります。中でも、代表的な大理石の種類を産地別にご紹介します。

産地 産出される大理石
イタリア ビアンコカララ(ホワイトカララ)
ボテチーノ
トラバーチン
ペルリーノロザート
ロッソマニャボスキ
イタリアンブラウン
セルペジャンテ
フィオルデペスコ
グリジオカルニコ
スペイン クレママーフィル
ロッソアリカンテ
ネロマルキーナ
ローザジロナ
マロンブラウン
ギリシャ ティノスグリーン
タソスホワイト
ボラカスホワイト
ポルトガル ローザオーロラ
トルコ ロッソレバント
ノルウェー ノルウェージャンローズ

表からわかるように、大理石の種類は非常に豊富です。導入を検討する場合は、それぞれの特徴を押さえて、選ぶようにしましょう。

大理石とよく比較される石材との違い

大理石は御影石や石灰石とよく比較される石材です。ここでは、それぞれの違いを解説します。


御影石との違い


御影石は、地下のマグマが地中深くでゆっくりと冷えて固まってできた、火成岩の一種です。


大理石が変成岩であるのに対し、御影石は成り立ちから異なります。石英や長石といった硬い鉱物で構成されているため、石材の中でもトップクラスの硬度を誇り、耐久性・耐水性に非常に優れています。


御影石はキッチンの天板や建物の外壁など、傷や水濡れが気になる場所で、多く使用される石材です。


石灰石(ライムストーン)との違い


石灰石(ライムストーン)は大理石の元となる岩石です。サンゴや貝殻などが堆積してできているため、稀に化石が含まれている場合もあります。


大理石は、石灰石が熱と圧力で再結晶化したものです。石灰石に比べて密度が高く、強度や耐水性も向上しています。


石灰石は、マットで素朴な風合いが魅力ですが、大理石よりも密度が粗く柔らかいのが特徴です。内壁のような、直接的な衝撃や水濡れが少ない場所での使用が主となります。

大理石を使用する3つのメリット

空間に大理石を取り入れることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的には下記の3つが挙げられます。

①:重厚感がありつつも、品性を感じられる
②:唯一無二の美しいマーブル模様がある
③:光の反射で空間が明るくなる


それぞれ詳しく解説します。

①:重厚感がありつつも、品性を感じられる

大理石の最大の魅力は、その格調高い質感です。丁寧に磨き上げることで美しいツヤが生まれ、ずっしりとした重厚感もあります。他の建材では表現しがたい上品さを空間にもたらしてくれます。


大理石調タイルなら、下記の場所で使用するのが向いているでしょう。

ホテルライクなバスルーム

お客様を迎える玄関

ラグジュアリーな空間づくりを目指す場合に、最適なのが大理石です。


②:唯一無二の美しいマーブル模様がある


流れるような独特のマーブル模様も大理石の魅力の一つとして挙げられます。


マーブル模様は、石が形成される過程で混入した鉱物によって生み出されるものです。天然素材だからこそ一つとして同じ模様は存在しません。一枚一枚異なる表情を持つ大理石を使えば、オリジナリティのある空間に仕上がります。


ただし、400角のようなタイルにカットすると、採掘された場所によって模様が大きく異なる場合があります。並べると色味の濃淡がはっきりとわかるケースもあるほどです。

この天然のバラつきが気になったり、均一なデザインを好んだりする方には、セラミックタイルもおすすめです。セラミックタイルは、現代の技術で大理石の模様を忠実に再現したものであり、光沢も落ちにくい特徴があります。


③:光の反射で空間が明るくなる


大理石の表面は非常になめらかであり、鏡面仕上げにすることで光を美しく反射します。窓から差し込む自然光や照明の光を室内に拡散させることで、空間全体を明るく、広く見せられるでしょう。


とくに白系の大理石はレフ板のような役割を果たし、開放感のあるクリーンな印象を与えてくれます。

天然大理石を使用するデメリット

多くの魅力を持つ天然大理石ですが、あらかじめ知っておくべきデメリットも存在します。具体的には、次のとおりです。

①:経年変化がある
②:屋外では酸性雨の影響で光沢がなくなる
③:白い大理石などはシミが目立つ


順番に見ていきましょう。


①:経年変化がある


大理石は天然石の中では比較的柔らかい石材のため、細かな傷がつきやすい性質があります。特に床に使用した場合は表面に無数の傷がつき、徐々に光沢が失われていきます。傷がつきやすい原因は下記のとおりです。


・日常的な歩行
・家具の移動
・掃除機の使用


もちろん、風合いの変化を味と捉えることもできるでしょう。しかし、新築時のような輝きを維持したいのであれば、次のような対策も必要不可欠です。


・コーティングを実施する
・こぼれたものはすぐに拭き取るようにする
・定期的に傷や汚れのある表面を薄く研磨する


これらの対策を実施し、光沢を維持するようにしましょう。


②:屋外では酸性雨の影響で光沢がなくなる


大理石の主成分である炭酸カルシウムは、酸性の液体に触れると溶けてしまう性質があります。そのため、大理石は酸性雨にさらされる屋外での使用が向いていません。

万が一、屋外で使用すると、化学反応によって表面のツヤが失われたり、表面が溶けて斑点状の痕が残ったりする可能性があります。


③:白い大理石などはシミが目立つ


大理石は、目には見えない無数の小さな穴が開いている、多孔質な石材です。水分や油分を内部に吸い込みやすく、一度染み込むとシミになりやすい弱点があります。

コーヒーやワイン、醤油などをこぼした際は、すぐに拭き取らなければなりません。特に、白系の美しい大理石は色の変化が目立ちやすいため、注意が必要です。


大理石のメンテナンス方法

大理石の美しさを保つ基本は日々の乾拭きや水拭きです。一方で、石は一度汚れると除去が難しいため、事前に予防することも極めて重要だといえるでしょう。


専門的なケアとしては、石材用浸透性保護剤の塗布が有効です。石内部の微細な空隙に保護剤が浸透し、内側に撥水層を形成して汚れの侵入を防ぎます。表面に膜を作るワックスと違い、石本来の風合いを損ないにくいのが特徴です。


なお、万が一、コーヒーや醤油のシミがついた場合は、酸素系漂白剤を使いましょう。薬剤を染み込ませた脱脂綿で20分ほど湿布し、十分に水洗いしてください。


ただし、大理石は主成分が炭酸カルシウムのため、酸性の薬剤に触れると表面が溶けてしまいます。酸性洗剤の使用は避けましょう。


タイルライフでは、石材の保護コーティング剤も取り扱っています。ぜひ下記よりチェックしてみてください。

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大理石を選ぶときの4つのポイント

最後に大理石を選ぶときに外せないポイントを4つ紹介します。


①:水まわりで使用するかどうか
②:天然石の風合いがほしいか
③:お手入れがしやすいか
④:予算に余裕があるか


デザイン性だけでなく、使用場所やライフスタイルを考慮することが大切です。詳しく見ていきましょう。


①:水まわりで使用するかどうか


1つ目のポイントは、水回りで使用するかどうかです。

大理石は水分や酸に弱いため、水まわりで使用する場合は注意が必要です。具体的な場所は下記が挙げられます。


・キッチン
・洗面
・浴室


特にキッチンカウンターでは、調味料や酢・レモン汁などに含まれる酸により、表面が変質するリスクも否めません。


その対策として、キッチンメーカーなどは、シミや汚れに強く扱いやすい人造大理石や大理石調のセラミックを採用しています。


ちなみに、石材の吸水率自体は、御影石が約0.35%であるのに対し、大理石は約0.3%と、実は大理石の方が低いとのデータもあります。ただし、酸への耐性は御影石の方が優れているのが特徴です。


②:天然石の風合いがほしいか


2つ目のポイントは、天然石の風合いがほしいかどうかです。

人工素材にはない自然な模様のゆらぎ、質感、色むらは、天然大理石ならではの魅力です。本物だけが持つ上品さを演出し、空間の主役としたい床や壁面には、天然大理石が最適でしょう。


インテリアのアクセントとして、その唯一無二の存在感が際立ちます。


③:手入れがしやすいか


3つ目のポイントは、手入れがしやすいかどうかです。

大理石はデリケートな素材であるため、シミや傷による劣化が気になるのであれば、メンテンナンスのしやすさが選ぶ基準になります。


大理石調のセラミックタイルは、見た目の美しさと機能性を両立しているため、おすすめだといえるでしょう。

④:予算に余裕があるか


最後のポイントは、予算に余裕があるかどうかです。天然大理石は、材料費・施工費ともに高価な建材といえます。具体的な価格相場を下記にまとめました。

項目 材料費(㎡あたり) 施工費用相場(㎡あたり)
大理石 床 18,000~50,000円 17,000円
御影石 床 15,000~40,000円 17,000円
タイル 床 7,000~30,000円 11,000円

※施工費用相場は材料費などにより、変動します。施工費用は6㎡以上の参考価格です。


ただし、全面的に採用するのは難しくても、こだわりたい場所を明確にし、優先順位をつけられれば導入できます。また、選ぶものによっては、タイルのほうが高額になるケースもあるでしょう。


予算を把握し、どこに導入するかを十分に検討してみてください。

用途に合わせて大理石を選ぼう

大理石は、石灰岩が長い年月をかけて生まれ変わった、唯一無二の模様を持つ美しい石材です。酸性雨に弱いことをはじめとした、デリケートな側面もありますが、味のある経年変化を楽しめたり、空間に上品さを演出したりできます。


きちんとした手順でメンテナンスすることを怠らないようにしましょう。


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