石材の物性別の解説
石材の吸水・透水性について
石材は水分を吸い込む性質があり、表面あるいは裏面から反対側に、水分が染み出す性質を持っています。
これは構成する鉱物によるもので、また、細孔といってミクロの空隙を保有していることからです。
石材の分類では、凝灰岩、砂岩が非常に高く、また、石灰岩も高い性質を持っています。
吸水性・透水性の高い石材ほど染み込み易く、汚れ易いと言えます。
また、長時間吸水した状態(湿った状態)が続きますと、カビ等の原因になりますので換気をよくすることが重要になります。
石材の強度について
石材の強度は、圧縮強度、曲げ強度で表され、一般に、比重の大きな石ほど圧縮強度は大きくなる傾向があります。
石材が構造材料でなく、仕上げ建材として使われる場合には、曲げ強度が重要となりますが、一般的に石材の圧縮強度は大きく、曲強度は小さい傾向です。
また、同じ石種であっても、組成、含水率、石目の方向により異なり、特に、大理石のように自然の亀裂が存在する場合には、曲げ強さは大きく変化する場合があります。
石材の摩耗性について
大理石、石灰岩、砂岩、凝灰岩は、花崗岩に比べて数倍から数十倍、摩耗しやすい性質をもっています。
また、摩耗しやすい石は傷も付き易いため、磨き仕上げの大理石、水磨き仕上げの石灰岩等は使用部位への注意が必要です。
石材の耐火性について
石は火に強いように思われますが、花崗岩は、最も火に弱く、500℃以上では急激に強度が低下します。
特に、石英を多く含む石種ではこの性質が顕著となります。
大理石も700℃以上では材質の変化により強度が低下します。
これに対し、安山岩、凝灰岩、砂岩では高温でも強度は低下しませんが、色が変化するものがあります。
石材の耐候性について
一般に、花崗岩や安山岩は耐候性に優れていますが、砂岩や凝灰岩は劣ります。
大理石は、雨水によって徐々に表面が溶けて侵されますので外装には不向きです。
吸水率の大きな石種では、冬季の凍結により崩壊、剥離などが起きる場合があります。
大理石は、吸水率が低いので一般的には凍害の心配がありませんが、自然の亀裂を有する石種の場合は、この亀裂により破裂することもありますので、寒冷地での使用は注意が必要です。
また、花崗岩や大理石に鉄分を含む鉱物が存在する場合、サビの原因となる可能性があります。
石材の耐薬品性について
大理石は、石灰岩の変成によってできていますので、酸には非常に弱い性質があります。
このため、温泉地などで大理石を浴室に使用するのは好ましくありません。
また、大理石は、アルカリにも侵される場合がありますので注意が必要です。
花崗岩はアルカリに対しては強いのですが、酸には必ずしも強いとはいえないため、外部への使用、施工時の酸洗いなど、石種によっては注意が必要となります。
石材の硬度について
石の硬さは、構成している鉱物の種類とその組織によって異なります。
よく知られている硬度の指標に、下表のモース硬度があります。
モース硬度 |
基準鉱物 |
1 |
滑石 |
2 |
石膏 |
3 |
方解石 |
4 |
蛍石 |
5 |
燐灰石 |
6 |
正長石 |
7 |
石英 |
8 |
トパーズ |
9 |
コランダム |
10 |
ダイヤモンド |
硬さの異なる鉱物10種類を基準にし、測定したい鉱物と引っ掻き合うことで硬さを表すもので対象物のキズのつきやすさに使われます。
例えば、モース硬度が2のものは爪でキズがつく硬さになります。
主に方解石からなる大理石よりも、主に石英、長石からなる花崗岩が硬いのはこのためです。
また、黒御影は白御影、赤御影よりも石英が少なく長石が多いため、花崗岩の中では軟らかいほうです。