外壁タイルについて
素地と製法
外装用建材に要求される条件としては何よりも耐候性にすぐれていることが挙げられます。この点タイルは、焼きものだけが持つ不変の特性により、信頼性の高い外装材として評価されています。
外壁タイルと しては磁器質あるいは充分に焼き締めたせっ器質のタイルが使われますが、これは凍害(タイル素地に浸透した水が凍り、膨張してタイルを破壊する こと)や、白華(セメントのアクがタイル表面に浮き出て白い汚れになること)を防止するため、吸水率がきわめて低い素地を選ぶ必要があるからです。
製法としては湿式押し出し成形・乾式プレス成形の2種類があり外観的には、湿式は面や形 状に柔らかみを感じ、乾式によるものは硬さや正確さを感じるという、 それそれの特長を特っています。いいかえれば、湿式成形によるものは、形状や肌合いに自然な感じがありクラフト感覚が豊かです。また乾式成形によるものは 寸法精度がきわめて高く、仕上がりも明確でクールな感じになります。
大形タイルや特殊形状のタイルを製作するには湿式製法が有利であり、外装モザイクタイルなどは乾式製法がほとんどです。
近年では、タイルの焼成時に特殊な発泡技術を使って軽量化を図った軽量レンガタイルや軽量セメントを主体としたセメント系ブリックタイルなどの製品もあります。
色と形状
外壁タイルには、無釉(うわぐすりのないもの)、施釉(うわぐすりのかかったもの)の両方があります。
無釉タイルはレンガ調のものや、ベージュ、アイボリー系の土ものタイルが代表的である。いずれも素地のもつ肌合いや、焼き色の微妙な度合いを特長としています。
施釉タイルには、釉薬(うわぐすり)の色の均一性を狙ったものと、窯変釉によって1枚1枚の色合いが微妙に異なる焼きものとしての味わいを追求したものとに分けることができます。
タイルは、素地自体が焼成温度や焼成方法(酸化焼成・還元焼成)に応じて発色する色合い や、釉薬(うわぐすり)による呈色が、きわめて幅広いため、他の建材に較べて設計者の意図を実現しやすいといえます。一方、焼き色や窯変の色幅、単体と集 合面の風合いの差には注意を払う必要があります。
外壁に使用されるタイルの形状としては、二丁掛けタイル・小口タイルなどの外壁タイルと、50角・50角二丁といった外装モザイクタイルなどが一般的です。その他、高さが30mm程度のボーダータイルや100mm角の外壁タイルも一般的に使用されます。
また、三丁掛 (227×90mm)以上の大形タイルや、コーナーにテーパーをとったり、山形、丸形にした特殊形状タイル、さらに表面を復古調のスクラッチ、粗面、石面、波面にしたタイルもあります。
外壁タイルの標準形状
一般的な外壁タイルの呼称として「小口平」「二丁掛け」などがよく使われますが、これは積レンガのサイズに由来しています。また、役物タイルとしては「小口曲」「小口屏風曲」「標準曲」「二丁屏風曲」などがあります。
呼称 |
実寸法(mm) |
小口平 |
108×60 |
二丁掛 |
227×60 |
三丁掛 |
227×90 |
四丁掛 |
227×120 |
ボーダー(基本形) |
227×30 |
壁タイルの貼り方(標準的な施工方法)